犯罪被害給付制度とは
 犯罪被害給付制度とは、通り魔殺人等の故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた被害者の遺族又は身体に障害を負わされた被害者等に対して、社会の連帯共助の精神に基づき、国が犯罪被害者等給付金を支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうとするものです。
 この法律は、昭和49年8月30日に発生した三菱重工ビル爆破事件(死者8人、負傷者380人)を契機として、公的な犯罪被害者補償制度の確立の必要性が、国会、マスコミ等で大きく論議され、また、通り魔殺人事件の被害者の遺族、被害者学の研究者、弁護士会等からも、この制度の確立を求める声が高まったことを踏まえ、昭和55年5月1日に「犯罪被害者等給付金支給法」が制定され、昭和56年1月1日から施行されました。
 平成7年に発生した地下鉄サリン事件等の無差別殺傷事件を契機に、被害者の置かれた悲惨な状況が広く国民に認識されるのに伴い、犯罪被害給付制度の拡充を始めとして被害者に対する支援を求める社会的な機運が急速に高まり、このような状況を踏まえ、支給対象の拡大や給付基礎額の引上げを中心とした法改正がなされ、平成13年7月1日から「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」が施行されました。
 さらに、犯罪被害者等基本法(平成16年12月成立)及び犯罪被害者等基本計画(平成17年12月閣議決定)を踏まえ、重傷病給付金に係る支給要件の緩和、支給対象期間の延長等を内容とする政令改正及び親族間犯罪に係る支給制限の緩和を内容とする規則改正が行われ、それぞれ平成18年4月1日から施行されています(平成18年4月1日以降発生した犯罪行為について適用されます。)。
犯給図

 
■対象となる犯罪被害■

 本制度による支給の対象となる犯罪被害は、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる犯罪行為(過失を除く。)による死亡、重傷病又は障害であり、緊急避難による行為、心身喪失者又は刑事未成年者の行為であるために刑法上加害者が罰せられない場合も、対象に含まれます。

■給付金の種類と額■

 給付金には、死亡した被害者の遺族に対して支給される「遺族給付金」と、犯罪行為により重大な負傷又は疾病を受けた方に対して支給される「重傷病給付金」、身体に障害が残った方に対して支給される「障害給付金」の3種類があり、いずれも一時金として支給されます。
 遺族給付金と障害給付金の額は、被害者の年齢や勤労による収入額等に基づいて算定されます。
 重傷病給付金は、加療期間1月以上かつ、入院期間3日以上(犯罪被害に起因するPTSD等の精神疾患については、その症状の程度が3日以上労務に服することができない程度の場合は、入院期間がなくても対象となります。)の被害者の方に1年を限度として、保険診療による医療費の自己負担相当額が支給されます。
 また、遺族給付金についても、犯罪行為により生じた負傷又は疾病について被害者が死亡前に療養を受けた場合には、その負傷又は疾病から1年間における保険診療による医療費の自己負担分が加算されて支給されます(この場合は、加療及び入院要件は必要とされません。)。
 なお、犯罪行為によって被害を受けた場合でも
 
親族の間で行われた犯罪
犯罪被害の原因が被害者にもあるような場合
労災保険等他の公的給付や損害賠償を受けた場合

などについては、都道府県公安委員会の裁定により、給付金の全部又は一部が支給されないことがあります。